介護や医療の現場で気をつけなければならないのが、床ずれ(褥瘡・じょくそう)です。
高齢者だけでなく、自分で体を動かせないようになってしまった時に、床ずれが起こる可能性があります。
万が一、床ずれが出来てしまっても、病院に入院している時であれば、看護師がいたり、医師がいたりするので、早急に対処できますが、在宅だとそうもいきません。
そんな時にあったら便利なアプリの試作版が開発されました。
この記事では、
- 床ずれについての簡単な解説
- 床ずれ防止におすすめの方法
- 床ずれの重症度がわかるアプリの内容
をお伝えしていきます。
目次
床ずれ(褥瘡・じょくそう)とは?
床ずれという言葉をご存知でしょうか?
介護や医療に携わっておられる方はご存知だと思いますが、高齢者だけでなく、体が不自由になって自分で動けなくなってしまう状態「寝たきり状態」となると、お尻の骨やかかとなどのでっぱった部分が圧迫されます。
長時間圧迫されると、血が通わなくなり、次第に皮膚組織が死んでしまい、傷が出来てしまう、簡単に言えば、それが床ずれということになります。
最悪の場合、傷口から菌が入り、敗血症などで死に至ることもあるので、軽視できません。
この床ずれは、長時間圧迫されていたら出来るというものではなく、色々な原因が重なり合うことによって出来てしまいます。
では、なぜ床ずれが出来てしまうのか、原因についてお伝えしていこうと思います。
「床ずれ(褥瘡・じょくそう)」の原因
床ずれは、長時間皮膚組織を圧迫するだけで出来るわけではありません。さまざまな原因(4つの原因)が複雑に絡み合って発生します。
4つの原因とは、直接の原因、皮膚への原因、全身の原因、社会的な原因です。
直接の原因
- 自分で寝がえりがうてないために、骨がでっぱっている(突出)場所が圧迫され続ける場合。
- 呼吸が苦しくて同じ姿勢で座っている場合。
- 車いすなどで同じ姿勢で座っている場合。
私たちもずっと座っているとお尻が赤くなって、痛くなります。
自分で動くことが出来れば、立ったり、ゴソゴソ動いたり出来ますが、寝たきりなどになると、自分では動けないので、同じ姿勢になっている時間が長くなってしまい、床ずれの原因になってしまうのです。
皮膚への原因
- 同じ部分が長時間圧迫される。
- 摩擦・ずれによって皮膚が弱くなっている。
- 尿・便で常に汚れて湿った状態になっている。
- 皮膚が乾燥し、刺激に弱くなっている。
皮膚に摩擦やずれが起きると、皮膚の中では筋肉から皮膚に向かう血管が引き伸ばされて細くなるために、皮膚への血行が悪くなり、床ずれを起こしやすくなってしまいます。
また、汗や尿・便などで皮膚が汚れたり、おむつをしている場合は、皮膚がふやけた状態となってしまうので、床ずれしやすくなります。特に下痢が続いている時は注意が必要です。
私の母もそうですが、毎日気にしていても、下痢状態が続くとすぐに床ずれになってしまいますので、特に注意して観察しておいた方が良いです。
全身の原因
- 意識の低下。
- 食事が十分にとれず、栄養状態が悪い。やせている。
- 手足の関節が硬い。
- 心不全・糖尿病がある。抗がん剤、ステロイド剤などの薬を使用している。
- むくみがある。
意識が低下すると、痛みを訴えることが出来なくなったり、痛みに鈍くなってしまって、床ずれの発見が遅れてしまうことがあります。
また、栄養不足になってしまうと、脂肪が少なくなって、外部からの衝撃に弱くなったり、傷の治りも遅くなります。なので、やせていると、骨がでっぱってしまうので床ずれの原因となってしまいます。
むくみも外部からの衝撃に弱い状態ですので、注意が必要です。
社会的な原因
- 介護力不足。
- 社会的サービスや制度などの情報不足。
自分で身体を動かせないということは、定期的に体を動かしてあげる必要があったり、おむつをしている場合は、おむつの交換をしなければなりません。
そのために、介護力が必要となります。介護力が不足していると、ケアが行き届かないということになってしまいます。
また、在宅で介護している場合、介護や医療のサービスを受けていなければ、床ずれのことも知らないかもしれません。
床ずれがひどくなってからはじめて気が付くという事態になってしまうと、後々大変になってきますので、情報収集はとても大事ということになります。
こんなにたくさんの原因が重なりあって出来てしまうのが「床ずれ」。
命にもかかわるのでとても怖いですよね。
では、どこをみていけば、床ずれしないで済むのか。
次は、どこに出来やすいのか、どこを観察すれば良いのかお伝えいたします。
「床ずれ(褥瘡・じょくそう)」出来やすい部位
出典:アルメディアWEB 褥瘡の好発部位
床ずれの出来やすいところは、骨がでっぱっているところです。
具体的な場所は次のとおりです。
■仰向けに寝ている場合
- お尻の中央にある骨(仙骨部)
- かかと(踵骨部)
- 肘
- 肩甲骨
- 後頭部
■横向きに寝ている場合
- 足のつけ根あたり(大転子部)
- くるぶし(外果部)
- 膝関節部
- 骨盤部分(腸骨部)
- 肘
- 肩の関節(肩蜂部)
- 耳(耳介部)
■座っている場合
- 尾骨部
- 背部
特に出来やすいところは赤字で記載しました。
関節部分、骨が出ているところが多いことがわかります。
「床ずれ(褥瘡・じょくそう)」の見極め方
床ずれを見極める方法は、皮膚の状態をじっくり観察することです。
おむつ交換や着替え、入浴時には床ずれが出来やすい部分を必ず観察しましょう!
皮膚が赤くなっていたら、その部分が圧迫されないような体の向きに変えてみて、30分後、赤みが消えていたら大丈夫です。
赤みが消えない場合は床ずれの可能性がありますので、医師や看護師に相談しましょう。
赤み以外にも次のような変化がないかチェックします。
- 発赤・紫斑(内出血)
- 水ぶくれ・むくみ
- ただれ・潰瘍
- 滲出液(しんしゅつえき)・におい
- 局所の熱や体温の変化
上記の2~5までになってしまわないうちに医師や看護師に相談したいですね。
床ずれ防止におすすめの方法【体験談】
床ずれは基本作らないことが前提となっていますので、予防が重要になってきます。
床ずれを起こしてしまうと、治りにくかったり、治ったとしても繰り返してしまうことも多々あります。
基本的な床ずれ防止方法は、
- 体圧分散ケア
- 摩擦・ずれの予防
- スキンケア
- 排尿・排便のケア
- 栄養管理
これらを正しい方法で管理することです。
では、母が床ずれ予防に行っていた具体的な方法をご紹介いたします。
体圧分散ケア
体圧分散ケアとして、「エアマットレス」を使用していました。
「エアマットレス」は、電動のエアポンプによって空気を送り込み、マットレスを膨張・収縮させることによって、体圧がかかる部分を変えることができます。
母は自分で寝返りをうつことが出来なかったので、このタイプのエアマットレスを使用していました。
もし、ご自身で少しは寝返りをうつことができれば、エアマットレスだとやわらか過ぎて寝返りがかえってうちにくいという側面もあります。
静止型マットレス(ウレタンフォーム)など様々なマットレスがありますので、専門家に相談しましょう。
このエアマットレスはおおむね良いのですが、2つ欠点があって、それは、1.シーツにしわが寄りやすくなる、2.むれやすいということです。
シーツのしわも床ずれの原因となってしまうこともあるので、しわが出来たらその都度綺麗に整えてください。
むれやすいについてですが、エアマットレスは、ビニール素材ですので、どうしてもむれやすくなってしまいます。
夏など暑い日には、汗をかき過ぎていないか、おむつ内のムレについてなど、いつもより気にかけて下さい。
摩擦・ずれの予防
摩擦・ずれの予防ですが、ベッドに寝ている時、母の場合、体の向きを自分で変えられないので、だいたい3~4時間置きに体位交換(介護者によって体の向きを変える)をしていました。
母は介護施設にいたのですが、1日のスケジュールが決まっていて、誰が介護を行っても出来るように、下の体位交換表が部屋にはられていました。
体の向きも仰向け→右に横向きにするなど決まっていれば、同じ姿勢になってしまうことを防げます。
母の場合、足の関節の拘縮(こうしゅく)もありましたので、楽な姿勢になるようにクッションを使っていました。
スキンケア
スキンケアについてですが、予防するのに使用していたのが「ソンバーユ」です。
このソンバーユを1番床ずれが出来やすい、お尻の骨の周辺に塗っていました。
「ソンバーユ」は馬油の保湿クリームで、保湿と撥水効果があり、天然成分ですのでデリケートなお肌の方にも安心してご利用いただけます。
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母もデリケートだったのですが、ソンバーユを塗ってかぶれるということは全くありませんでした。
この保湿効果が高いソンバーユですが、ハンドクリームを何度も塗りなおすのと同じように、おむつ交換ごとにこまめに塗るのがおすすめです。
お尻以外にもどこでも乾燥しているところに塗れますので、色々な使い方ができます。
このソンバーユですが、一時期大人気で、なかなか購入することが出来なくて、ひやひやしたのを覚えています。それほど良い商品だということなんですね。
排尿・排便のケア
排尿・排便のケアですが、床ずれができやすい人というのは、おむつをしている場合が多いと思います。
母の場合もおむつをしていました。特におむつをしていると、むれて不衛生になりがちです。
母は介護施設で生活していたのですが、初めて入所した施設では尿とりパッドを何枚もいれられていて、おむつ交換は、その尿とりパッドを引き抜くのみの場合が多く、陰部を拭いたりしていなかったので、床ずれはできるは、尿路感染症になるはで排尿・排便のケアはされていませんでした。
しかし、違う介護施設にかわり、おむつ内を清潔に保つことによって、床ずれができることは少なくなりました。
まず、尿とりパッドを何枚も重ねないようにしましょう。むれの原因になったり、摩擦やずれが起きやすくなるからです。
おむつのサイズや、種類も適切なものを選びましょう。もしわからなければ、介護士やケアマネージャー、看護師に相談しましょう。
また、おむつ交換の時に、ぬるま湯で1日1回、便や尿をよく洗い流します。これは陰部洗浄ボトルを使用します。
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お尻を拭くときもゴシゴシ拭くのではなく、優しく拭きましょう。何度も言いますが、床ずれには摩擦はよくありません。
当然のことですが、汚れを放置しておくと皮膚炎が起こりやすくなり、床ずれができやすくなります。
特に、下痢の時は要注意です。
私たちも下痢をするとお尻が痛くなって、皮膚があれてしまうのと同じで、皮膚があれてしまうと床ずれの原因にもなります。清潔を保ち、保護クリームをしっかり使いましょう。
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おむつ交換ごとにこの「ソンバーユ」を綿棒でとり塗るのがおすすめです。
なぜ、綿棒を使うかというと、ソンバーユが不衛生にならないためです。綿棒なら使ったら捨てればよいですし、指で取るより、断然衛生的です。
保護クリームを塗っていても、おむつをしていると、クリームがとれてしまいますので、おむつ交換ごとに塗ってもらうのが良いかなと思います。
栄養管理
栄養管理ですが、こちらは当たり前のことですが、バランスの良い食生活が重要です。
皮膚・筋肉に常に栄養を与え、丈夫にしておくことが、床ずれの予防につながります。
もし、床ずれになってしまったとしても、栄養をちゃんととれていれば、傷の治りも早くなります。
といいながらも、寝たきりになると食事が進まず、なかなか栄養をしっかり摂るのは大変です。
食事が進まない時は、栄養のバランスも大切ですが、まずは好きなものを食べてもらうことが先決です。
母は食べ物を飲み込む力も弱くなっていて、食事が進まない時がありました。そんな時には、なるべく食べてもらえるように好きなもの、おやつなどを持っていったりしました。
もし、介護施設に入っている方は、施設の職員にご相談ください。施設によっては、食中毒の観点から外からの持ち込みができないケースもあります。
「床ずれ(褥瘡)」の画像で重症度がわかるアプリが開発!?
もし、床ずれが出来てしまったら、早い処置が重要です。
小さい傷のうちに処置できれば、治りは早く、辛い思いをすることも少なくなります。
今回、床ずれの画像で重症度がわかるという画期的なアプリが開発されましたので、ご紹介したいと思います。
床ずれ画像判定アプリ「(仮称)AI床ずれ」とは?
この床ずれ画像(写真)から重症度を判断するアプリの試作版を開発したのは、兵庫県朝来市多々良木、大植病院・精神科医の中村洪一先生。
人工知能(AI)が活用されているアプリ。
床ずれができたところの写真を撮り、
- LINE(無料通信アプリ)のアカウント「(仮称)AI床ずれ」に画像を送信する。
- 「医師に相談」「今すぐ加療」の2種類の指示が%で表示される。
- 症状が軽い場合は、「今すぐ加療」の%数字が高くなる。
出典:神戸新聞「床ずれ重症度判定アプリ」
このアプリがあれば、手軽に重症度がわかりますし、本人さんはもちろん、ご家族の不安や負担を少しでも軽くすることができるし、看護師や医師に相談しやすくなりますね。
国は在宅医療・介護を推進していることもあり、今後ますます床ずれの患者さんが増えると予想し、需要を見極めながらアプリを完成させていく予定とのこと。
是非、実用化してもらって、小さな傷でも判断してくれるようなアプリを開発していただきたいと切に願っております。
「床ずれ(褥瘡)」まとめ
床ずれについて色々書いてきましたが、1番重要なことは「床ずれ」を作らないようにすることです。
「床ずれ」は1度できてしまうと同じところに繰り返して出来てしまうことがあります。
なので、予防することが大切になります。
今回「床ずれ」のおすすめ予防法をご紹介しましたが、これだけしていれば大丈夫ということではありません。人それぞれ効果も違うでしょう。
もし、他にもっと良い方法があるよ!という情報がありましたら、Twitterもしておりますので、ご意見いただければ幸いです。Twitterはこちら
床ずれで苦しむ方が1人でも少なくなる助けになる、床ずれ重症度判定アプリが早く完成し実用化してほしいと切に願っております。
骨密度を上げる方法のご紹介記事はこちら☟
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