とろみを加える機能付き自販機が登場!製造メーカー・設置場所は?

介護

世界初、とろみ付きの飲み物も提供できるカップ式の自動販売機が新たに開発されました。飲み物を飲み込む力が弱い高齢者や、嚥下機能が低下した方が、液体を飲む時に「とろみ」を付けると飲みやすくなります。ボタン一つでとろみがつく画期的な自販機を製造したメーカーや設置場所をご紹介したいと思います。

目次

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とろみボタン付き「カップ式自動販売機」製造メーカーは?

2018年10月から病院への設置を開始した、この自販機は、ニュートリー株式会社(本社:三重県四日市市)と株式会社アペックス(東京本社:東京都千代田区)の共同で開発されました。

製品の開発では、ニュートリーが嚥下補助食品の開発で培ったノウハウを活用し、カップ式自動販売機から抽出される飲料にとろみを付けるための技術協力、とろみ材「ソフティアS」の提供を行いました。

また、アペックスは「とろみボタン」付きカップ式自動販売機の開発、導入後の品質管理、衛生管理などのトータルサポートを行っています。

病院への導入をはじめとし、これからはサービス付き高齢者住宅や有料老人ホーム等、高齢者施設への導入を目指しています。

両社は、医療・介護現場の慢性的な人手不足解決の一助だけでなく、とろみを必要とする方が、好きな飲料を好きな時に楽しめるような新しいリソースの提供を目的にビジネスモデルの構築を進めています。

どんどん導入され、たくさんの人たちに、飲み物を当たり前のように安全に、色々な種類を楽しめるようになってもらいたいですね。

とろみボタン付き「カップ式自動販売機」設置場所は?

介護老人保健施設 岐阜リハビリテーションホーム、日本歯科大学 口腔リハビリテーション多摩クリニック他、国内30台以上設置されているそうです(予定を含む)。

また、株式会社アペックスがカップ式の自販機に精通しているので、今から2年後の2021年までに2万台設置を目標としているのだとか。設置場所では、医療・介護施設だけでなく入浴施設や空港にも設置予定で、海外からも問い合わせがあるとのことです。

2万台設置予定ならば、どこかでお目にかかることが出来るかもしれません。どれくらいのとろみがついているのか、是非とも自分自身で試してみたいと思います。

とろみボタン付き「カップ式自動販売機」製品の特徴は?

高齢者をはじめとする嚥下機能が低下した方の、嚥下補助(飲み込みのサポート)を目的に開発された製品です。

ポイント1 とろみあり・なしボタンがあり選択ができる。

とろみを必要とする方も、必要としない方も、同じ調理機から好きな飲料を選べます。

ポイント2 とろみの濃さを調整できる。

とろみは、嚥下機能に応じて、薄いとろみ中間のとろみ濃いとろみ三段階から選べます。

ポイント3 とろみ調整を自動化できる。

とろみをつけるためのとろみ調整の作業を自動化することで、とろみにダマやムラが生じにくく、とろみ具合を安定させたとろみ付き飲料を抽出できます。

ポイント4 ボタンひとつで自動調理できる。

ボタンを押してから一杯ずつカップ内で調理をするため、いつも衛生的な商品を提供できます。

◆ポイント5 提供温度

とろみ付き飲料の提供温度、HOT45℃前後、COLD20℃前後。

*全商品100円 コーヒー・ココア・緑茶・抹茶ラテのすべてに「とろみ」をつけることが出来ます。

設置後も、アペックスの社員がルート巡回し、品質管理、衛生管理などメンテナンスを日常的に実施するので、安心ですね。

開発の苦労とは・・・

酸度の高いものやミルク成分が多いものはそれぞれとろみのつき方が変わり、飲料の種類だけでなく、アイス・ホット・ブラック・砂糖・ミルクなどの有り無しで同じとろみにすることが大変だったそうです。

開発スタッフが一杯ずつしっかり測定して、学会基準の範囲内に入っていることを確認して、調理のプログラムを作ったとのことです。もちろん、とろみにも味にも妥協しなかったそうです。

嚥下障害がある方にとって、スプーン一杯の水で溺れると言われるほど、飲み物は命取りにもなりかねないため、妥協は許されないですよね。

何故「とろみ」が必要なのか?

何故とろみが必要か・・・それは、誤嚥性肺炎にならないようにするためです。

水を飲んだり、食事を食べている途中にむせたりすることがあると思います。高齢になると、筋肉の低下などにより、食べ物をうまく飲み込めない「嚥下障害」になりやすいと言われています。嚥下障害の最大のリスクは「誤嚥(ごえん)」です。

誤嚥とは、嚥下障害により、食べ物や飲み物が胃ではなく気管に入ってしまうことです。気管に入った食べ物や飲み物と一緒に細菌が肺に入ってしまうことがあり、中で炎症を起こし、誤嚥性肺炎につながる危険性があります。

誤嚥性肺炎は繰り返しやすく、「負のスパイラル」に陥りやすいと言われています。65歳以上の約2割が飲み込み障害と言われていることから、高齢になると誤嚥のリスクが上がってきます。誤嚥性肺炎は、75歳以上の死因の上位で、誤嚥は万病のもとです。

水のようにさらさらとした液体は、速く動いてしまうので誤って気管に入ることがあります。とろみをつけることでゆっくりとした動きになり、液体が気管に入るのを防げます。ただし、嚥下の能力が低下していても、すべての食事にとろみをつける必要はありません。

とろみのある食べ物は、口やのどに張り付きやすいので、口腔内のケアが大変になります。また食材によっては、とろみをつけることで逆に誤嚥のリスクが高まる場合があります。食事をする人や提供する食事にあった適度なとろみを知ることが重要です。

とろみ付き飲料を飲んだ感想は?

◆高齢者の方の感想

・とっても美味しい。

・ほとんどわざとらしいところはないし、ほとんど変わらなくて美味しい。

◆高齢者以外の方の感想

・コーヒーのコクを感じることが出来た。

・食感が面白いゼリー飲料みたい。

・飲みごたえがあり「小腹が空いた」時にもいいかも。

以上のような感想でした。概ね良好なようですね。

まとめ

医療や介護の現場では、手作業でとろみをつけています。飲み物の種類や温度によって、とろみが付きすぎたりダマになったりと苦労が絶えませんが、この『とろみボタン付きカップ式自動販売機』だと、ムラなくいつも同じ味が楽しめます。

とろみ付きの飲み物ってとろみの付き具合によっては、とても不味くなってしまうので、とろみをつけないと飲みにくい方にとっては、朗報ではないでしょうか。また、医療・介護現場のスタッフの作業軽減にも繋がります。良いこと尽くしの『とろみボタン付きカップ式自動販売機』が早く普及して、飲み物を気軽に楽しめるようになれば良いですね。

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