今わたしたちの生活を脅かしている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ですが、感染状況や感染しないための注意点など、連日報道されています。
この情報はだいたいヒト→ヒト感染についてのものばかりで、ヒト→犬や猫にうつったりするのか、そのまた逆に犬や猫→ヒトにうつったりするのか、もし飼い主が新型コロナウイルスにかかってしまったらどうしたら良いのかなどについての報道はほとんどありません。
わたしもよくニュースをみているのですが、ペットと生活している人向けの詳しい報道はあまり見かけません。
しかし、ペットも家族の一員です。もし飼い主である自分が肺炎になり、入院しなければならなくなったらと思うと心配でなりません。
この記事では、
- 新型コロナウイルスは犬猫にうつるのか?
- 新型コロナウイルスについてのQ&A
- 新型コロナウイルスに飼い主が感染した時の対処法
について、猫や犬の飼い主さん向けの最新情報をエビデンスにのっとってお伝えしていきます。
目次
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は犬猫にうつるのか?
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が犬や猫にうつるのか?これは一番心配なことだと思います。
以前は(公益社団法人 東京獣医師会2020.2.28掲載分)うつらないとお伝えしていたのですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がヒト以外の動物にもうつることが確認されました。最新【公益社団法人 東京獣医師会2020.5.23掲載】
この新型コロナウイルスですが、新型ということもありまだわかっていないことが多々ありますが、だんだん情報が増えてきました。
今現在わかっている情報を公益社団法人 東京獣医師会HP記載の内容にのっとって、詳しくお伝えしていきます。
香港で新型コロナウイルスが犬から検出された報道について
OIE(国際獣疫事務局)によると、香港当局は新型コロナウイルスに感染した飼い主が飼育している犬から、新型コロナウイルスがPCR検査で低いレベルの陽性反応がみられました。
このワンちゃんの弱陽性反応は、その後、陰性となり、その間何の症状も出ていませんでした。
最初の血液検査では、感染を示すコロナウイルスに対する抗体価の上昇は認められませんでしたが、その後陽性が確認されましたので、そのワンちゃんの感染は起きたということになります。
2020年3月18日には、別の陽性患者が飼っているワンちゃんも陽性となったことが報告されています。このワンちゃんも症状が出ず、その後陰性となりました。
参考:公益社団法人 東京獣医師会HP
ベルギー等で猫の感染が確認された報道について
2020年3月27日、ベルギーで猫ちゃんの感染が確認されたと、ベルギー当局から発表されました。
報道によると、この猫ちゃんは下痢・嘔吐・呼吸困難などの症状が出た後、回復したとされていましたが、判断をするための十分な情報がなく、本当に感染したかどうかも含めて不明とのことです。
その後、3月31日には、香港当局が猫ちゃんへの感染を報告しています。この猫ちゃんの場合は、症状を示していないとされています。
4月22日には、ニューヨーク州でそれぞれ別の飼い主に飼育されている猫ちゃん2頭の陽性が確認されました。この猫ちゃんたちは、軽い呼吸器症状を示し、現在は回復していると報告されています。
1頭は飼い主が陽性患者で、もう1頭は感染源がはっきりしていませんが、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)および国立獣医学研究所はヒトの陽性患者から感染したと推測されています。
いずれの報告も、新型コロナウイルスが犬および猫にうつる可能性があるということになります。
香港当局もベルギー当局も、新型コロナウイルス感染症は、ヒトからヒトにうつる病気であり、ヒトから犬や猫への感染は一般的ではないことが強調されています。
また、ヒトからペットに感染した(ペットからウイルスが検出された)としても、ペットがヒトに病気を移す可能性は限りなく低いだろうと、世界中の多くの専門家も含めて考えています。
参考:公益社団法人 東京獣医師会HP
犬・猫以外の新型コロナウイルス感染事例
- 4月5日には、ニューヨークのブロンクス動物園でトラ1頭の感染が確認され、さらに4月22日、トラ1頭に続いて、臨床症状を示していたトラ4頭、ライオン3頭においても、糞便中に新型コロナウイルスが確認。
- 4月23日には、オランダのミンク農場でのミンクへの感染が報告。その後、5月19日にはミンク農場の従業員の一人に感染者が出ており、ウイルスを分析した結果、ミンクからの感染による可能性が高いという報告が発表。
2についてですが、ウイルスはミンクからも排出されていること、ミンクーミンク間の感染が成立していることがわかりました。
また、ミンク牧場をいう特殊な環境下の影響もあり、排出されたウイルスが、ミンクの飼育小屋内のほこりや空気中に存在したことが確認されました。
オランダの国立公衆衛生環境研究所(RIVM)によると、ミンクの飼育小屋の外で収集した空気やほこりにはウイルスは含まれていないこと、ミンク農場の周辺400mは立ち入り制限がされていることから、飼育小屋の外の人間に伝染するリスクは非常に低いとのことです。
参考:公益社団法人 東京獣医師会HP
新型コロナウイルス感染実験によって分かっていること
日本以外の外国の感染実験についてまとめています。
- 2020年4月8日に、中国でのShi J氏らによる感染実験により、猫→猫への感染が確認。
- 5月13日にはHalfmann氏らが、3組、6頭の猫間での新型コロナウイルス感染についての論文を発表。
- ドイツ国立動物衛生研究所(FLI)や中国で行った動物実験によって、フェレットの感染が確認。
実験からわかること・・・
逆に言えば、家庭で適切な飼育環境が維持されていれば、猫もフェレットも新型コロナウイルス感染症をヒトに感染させる可能性は低いということになります。
その理由は、動物たちがヒトに感染させるほどのウイルス量や、感染経路などを持っていないからです。
万が一、飼い主からペットに感染させてしまった場合でも、猫では2週間程度でウイルスが検出不可能なレベルに下がることが報告されていますので、検疫期間を設けることでウイルスは排出され、その後は通常の生活に戻ることが出来ます。
参考:公益社団法人 東京獣医師会HP
結論として、まず大切なことは、飼い主が感染しないように最大限の対策をする必要があるということです。
感染しないために今一人ひとりができる対策についてはこちらをご参照ください。首相官邸HP〜新型コロナウイルス感染症に備えて〜
次に、新型コロナウイルスについて今わかっていることをQ&A形式でお伝えしていきます。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)について Q&A
Q.新型コロナウイルスはペットからヒトに感染しますか?
A.現時点では、ペットからヒトに感染した報告はなく、うつる可能性はほぼないとされています。
参考:公益社団法人 東京獣医師会HP/2020.5.23掲載
Q.犬の散歩や運動ではどんなことに気をつければいいですか?
A.犬の散歩や短時間の運動については続けても問題ありませんが、ヒトや犬が多数集まる公園などに連れていくのは避けるべきです。散歩や運動は必ずリードでつないでください。
人混みを避けたルートを選び、飼い主同士の立ち話は避け、通行人や他の動物とは、1.8m程度の距離を保つようにしましょう。
ドッグランの利用はヒトや犬が集まる場所になりますので、できる限り控えてください。
帰宅時の手洗いなど感染対策をおこなってください。
参考:公益社団法人 東京獣医師会HP/2020.5.23掲載
Q.犬や猫にも「コロナウイルス感染症」があると聞いたことがありますが、それは人にうつりますか?
A.犬や猫にも固有のコロナウイルス感染症がありますが、それは、動物種独特のものであり、種を超えて感染はしません。また、これまで犬猫で報告されている「コロナウイルス感染症」が、人を含めた他の種の動物に感染したという報告はありません。
犬の場合は軽い下痢症状、猫の場合は猫伝染性腹膜炎(FIP)を起こしたりする場合もありますが、どちらもまれな病気です。
犬のコロナウイルス感染症が猫にうつったり、逆に猫のコロナウイルス感染症が犬にうつったりすることは一般的ではありません。
新型コロナウイルスが、ヒトからペットにうつり、ペットは発症しないがウイルスを所有 し、ヒトに伝染させるという「ペットの媒介」も、今のところは否定されています。
ただし、ヒトと動物との共通感染症もありますので、口移しで食べ物を与えたり、同じ食器から食べたり、キスするなどの濃厚接触はしないように心掛けることは大切です。
参考:公益社団法人 東京獣医師会HP/2020.5.23掲載・北海道獣医師会HP
Q.犬コロナウイルス感染症のワクチンがありますが、新型コロナウイルスへの予防効果はありますか?
A.全く異なるウイルスのため、ワクチン接種による予防効果はありません。
参考:酪農学園大学 動物薬教育研究センターHP/2020.2.26掲載
Q.新型コロナウイルスにかかった人が近くにいる場合に、ペットが病気になったらどうしたら良いですか?
A.まずは獣医師に電話をして、ペットが新型コロナウイルスにかかった人と接触した可能性があること、もしくは、濃厚接触者であることを事前に伝えてください。
連絡しないで直接動物病院には連れて行かないでください。
新型コロナウイルス感染症にかかった方はもちろんのこと、病気の方は感染予防のために動物には接触しないようにしましょう。
参考:北海道獣医師会HP
Q.飼っているペットが新型コロナウイルスに感染したのではないかと心配です。どうすればいいですか?
A.ご自身が感染者でない限り、ペットへの感染を心配する必要性は少ないですが、新型コロナウイルスに感染していたヒトとペットが濃厚に接触した、その後ペットの体調が悪くなったという場合にはかかりつけの動物病院に電話をしてください。直接連れていくのではなく、必ず事前に連絡をいれましょう。
もし、ペットへの感染が心配なら、人混みに連れて行かないようにし、できるだけ感染のリスクを減らすように注意して生活しましょう。
参考:公益社団法人 東京獣医師会HP/2020.5.23掲載
新型コロナウイルスに飼い主が感染した時の対処法
考えたくもありませんが、もし自分(飼い主)が新型コロナウイルスに感染してしまった場合、隔離もしくは入院することになる可能性があります。
そんな時、ペットの犬猫をどうしたら良いのか対処法をご紹介いたします。
安心してペットのお世話を頼める人に預ける
飼い主さんがもし入院することになった場合、信頼できる場所にペットを預けるのがベストの選択です。
なぜなら、新型コロナウイルスは感染力が高く、症状は軽い方もいるようですが、濃厚接触者(同居している家族など)にも感染している事例が多いからです。
特に猫ちゃんは環境がかわることに過度なストレスを与えてしまうことがあり、自宅でお世話をお願いしたいと思うかもしれませんが、もし自宅を訪問してのお世話を友人やペットシッターなどに依頼すると、訪問者が自宅に残留している新型コロナウイルスに感染するリスクが高まってしまいます。
これってなかなかハードルが高いかと思います。我が家でももし自分が新型コロナウイルスにかかってしまったら、安心して預ける場所がありません。
私の場合もしもの時の備えとして、かかりつけの動物病院に預かってもらえるか相談してみようと思っています。←その後相談しましたが、預かりことはできないと言われてしまいました。
困っている時に、ペット保険で有名なアニコム損保を子会社に持つアニコム ホールディングス株式会社が、コロナ感染者のペットを無償で預かる「#StayAnicom」プロジェクトを始動させたという情報を入手しました。
詳しくはこちらをご確認ください。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000028421.html
もし、ペットを預けられるところがある場合、キャリーバッグや首輪、リードなどは、0.05%に薄めた次亜塩素酸ナトリウム液で拭いたあと、塩素を拭きとるためにもう一度水拭きしてください。
洗濯や消毒などに注意事項はこちらをご参照ください。https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf
念のために、被毛を洗浄するか、またはペットと接する際にはマスクや手袋をつけてもらい、お世話をした後は、丁寧な手洗いを実施するようにお伝えください。
上記で記載したとおり、もし動物病院に預ける場合も事前に電話で連絡し、許可が出れば来院してください。
動物病院の方に迷惑がかかってしまい、他の患者さんも感染の危険にさらしてしまいますので、ご注意ください。
とは言っても、多頭飼育をされている家庭では預けるというのは難しいと思います。
できる限り、飼い主さんが感染しないように注意することが大切ですね。
公益社団法人 東京獣医師会HPにわかりやすくまとめられていますので、こちらも参照してください☟
新型コロナウイルスに感染したヒトがかっているペットを預かるために知っておきたいこと(Ver.2)
ペットを預けず自宅療養する場合
預けるのはなかなか難しいという場合が多いかもしれません。
もし、自宅で療養する場合には、ペットの体表にウイルスが付かないようにするために、療養中の部屋にペットを出入りさせないようにしてください。
また、汚染したマスクやリネン類にペットが触らないように注意しましょう。
ご家族が自宅でお世話する場合も、ペットの体表に付いたウイルスで感染しないようにするため、ペットはシャンプーすることが望ましいでしょう。
シャンプーする場合は、お湯が出る勢いを弱くして、毛に当たったお湯がご自身や周りに飛び散らないようにしましょう。
ていねいにお湯で流したあとに、シャンプーをし、ペットを拭いたタオルは一般的な家庭用洗剤で洗濯してください。
ペットとの濃厚接触はさける
上記でもお伝えしていますが、ヒト→犬猫に新型コロナウイルスがうつることは、まずないと言われています。
しかし、犬にキスをした感染者がいたとすると、同じ犬に顔をなめられたりした人に感染が広がる可能性はあります。
また、人の髪の毛に付着した飛沫が手につき、ウイルスに感染するケースが少なくないことが指摘されています。
ペットの被毛にも、感染者のくしゃみや咳で新型コロナウイルスが付着する可能性もあるでしょう。
そのペットと同じベッドで飼い主さんが寝ることなどで、新型コロナウイルスのヒトへの感染が起こらないとも限りません。
花粉症の飼い主が行っている対策と同様に、ナイロン素材の洋服を愛犬に着せて散歩に行き、帰宅したら玄関前で脱がせた洋服を消毒するのは感染予防策のひとつになるでしょう。
新型コロナウイルスには、明らかになっていない部分がたくさんあります。
大切な家族の健康を守るために、念のために注意しましょう。
参考:ニッポン放送 NEWS ON LINE ペットスペース&アニマルクリニックまりも 院長 箱崎加奈子獣医師 取材
まとめ
今1番の感染症対策は、①「人混みにはいかない」ということ。
帰宅後はペットを触る前に②「手洗いを正しくおこなう」ことも大切です。
自分だけの体ではありません。飼い主さんには自分の家族を守っていく義務があります。
あなたの健康がペットの健康を守ることになります。
ここまで心配するには理由があります。
それは、19歳の頃、わたしも肺炎で入院したことがありました。
それはそれはしんどかったです。退院してからも体調が戻らなかった記憶があります。若い頃でもこんなにしんどかったのに、高齢者や体力がない方が感染してしまったら、命にかかわってしまいます。
だから、自分の家族にうつしてしまわないように、感染症対策を行っていただきたいと思います。
もし若い方が読んでくれているとしたら、自分は大丈夫だろうと安易に思わず、できる限りの対策を行っていただきたいと切に願っております。
新型コロナウイルスばかりで気が滅入ってしまいますが、今後の家族の幸せのためにも、今回調べた内容を参考に、しっかり対策していきたいと思っています。
あとで取り越し苦労だったねと言える日が早くきますように^ ^
皆さんも一緒に乗り切っていきましょう!
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