介護福祉士・介護士・保育士の給料は上がるの?人手不足の原因とは?

介護

介護福祉士・介護士・保育士、今一番人手不足が深刻な職種です。羽鳥慎一モーニングショーのそもそも総研でこの話題が取り上げられました。私も、介護士の資格は持っているものの、現場では働いていません。なぜ、必要とされているのに、なかなか不足を解消できないのかについて考えていきたいと思います。

目次

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介護福祉士・介護士・保育士どれくらい不足しているの?

2017年度保育士が7.4万人の不足2025年には介護士が34万人不足する恐れがあります。

不足している理由は、ニーズと給料のギャップ、収入が低いことです。

では、介護士・保育士それぞれに分けて解説していきます。

介護士が不足している理由は?

介護士不足の背景は「給料の低さ」に原因があります。介護の仕事の賃金は基本的には、介護保険、保険料や税金が基礎になっていますので、公費が増えない限りは、なかなか賃金を上げることはできません。

介護士のお給料の内訳は、公費50%、介護保険料50%ほぼ公的な負担となっています。介護士の平均収入は・・・

・介護士の平均年収:約300万円弱 ・全産業の平均年収:約400万円
およそ100万円低い

この数字は驚きですね。

介護職は給料のわりには、肉体的にも精神的にも非常に辛いということです。介護職には3K(きつい・きたない・きけん)という一般的にネガティブなイメージがあり、人材採用を難しくしています。他の産業でも人手不足のところもあり、人材獲得の競争が激しいことが問題となっています。

その中で給料が安い介護の仕事は選ばれにくいのが現状ではないでしょうか。

しかし、現実的に介護の仕事をし、退職した理由の第1位人間関係に問題があって辞めたでした。これを見ると給料だけが人材不足の原因ではないことがわかります。

人間関係はどこの職場でもあって、一番厄介なことですが、職場内の風通しをよくする、不満を言い合える場があるなど職員に対する心のケアが重要です。

介護の仕事は人を相手にする職場です。入居者さん・利用者さんとの心の通い合いも大切ですが、職員間の良好な人間関係が築けなければ、心に余裕が出来ず、入居者さん・利用者さんを思いやる気持ちも持てないでしょう。まずは、職場環境を良くすることが大切だと思います。

介護士の賃金が安いのはなぜ?

厚生労働省の統計によると、2014年の全国平均の月給は、

・福祉施設の介護員の平均月給:21万9700円。・訪問介護員の平均月給:22万700円。
・全産業平均の32万9600円。

およそ11万円低い

介護士の賃金が安いのは、ほぼ100%公費負担のため、そもそも介護報酬が公定価格であり、上限が決まっているからです。

「施設介護は介護報酬の6~7割が人件費、訪問介護は9割が人件費」です。サービス内容と価格を自由に決めて介護報酬を増やせればよいのですが、要介護度に応じサービス内容と介護報酬が決まっているので、賃金を上げづらい現実があります。

また、介護職員の賃金を巡っては社会福祉法人の内部留保に批判が出ています。

全部の施設が職員に利益を還元していない訳ではありませんが、自分たちの利益だけを考えている施設も中にはあるでしょう。職員に確実に利益を還元するためには、行政機関によるチェック体制が必要となるでしょう。

保育士が不足している理由は?

保育で命を預かっている上で重労働だったり、30人など大人数をみるため、結構気をはって仕事をしているといいます。責任が重い職業のわりには給料が安いのです。

・保育士の平均月給:23万9300円 ・全産業平均:33万6700円

出典:平成30年賃金構造基本統計調査より

およそ約10万円低い

このお給料だと余裕のある暮らしは難しいですね。保育士をしていた方が辞めた理由として、「心の余裕がなくなった。保育は心と心を通わせることが必要で、自分に余裕がないと対応できなくなる。少ない先生で大人数の子供をみるところで仕事をしていた時は、自分がやりたい保育と違っていた」などの理由があるようです。

保育士の賃金が安いのはなぜ?

現場と社会の認識にズレが生じていて、これまで保育所というのは母親代わりと思われていて、「母親がやっているんだから誰でもできるだろう」というような見方がされていました。ですので、低賃金だったようです。

しかし、保育は誰でも出来る職業ではなく、障害やアレルギーを持ったお子さんの対応で、医療的なケアが必要な場合もありますので、特に専門的な知識が必要となります。また、保護者に教育などの手助けやアドバイスも大切な仕事です。

また保育士のお給料はどこから発生しているのかというと、世田谷区の場合ですが、公費82%、保育料15%になっています。公費と保護者からの保育料が上がらないとお給料が上がりにくい状況となっています。

国も一応対策を講じています。内閣府は、2013年度から補助金で給与改善を進めていて、5年間で月額3万8000円増額されているのですが、残念ながら給料は低いままとなっています。

国が補助金を増額していても、他の産業も給料が上がっているので、保育士の給料が少し上がったとしても、結局他と比べると低いままになってしまっているようです。

有資格で保育士でない潜在保育士は約76万人いると言われています。保育の道にすすみたいと思っていても給料が安いために、保育の道に進まない人もいます。このまま給料が低いと、人材が現場から離れてしまい、人手不足は解消となりません。

国の早急な対応が必要になっているのです。

介護福祉士・介護士・保育士の給料を上げるためには?

今年(2019年)10月からの消費増税分から1000億円、介護保険料から1000億円を介護士の給料など処遇改善に当てられる予定ですが、淑徳大学総合福祉学部結城康博教授によると、全産業の平均に追いつくには約1兆円の予算が必要とのことです。また、介護士の給料を上げるためには公務員化を提案しています。

外国では、スウェーデンの一部やデンマークなどでは、介護士はほとんど公務員で安定した労働力が確保できていると言われています。介護士の公務員化で人生設計を長期的に立てやすくなるメリットがあるようです。

日本でも1970年代80年代あたりまでは、公立の介護施設が結構あったので、公務員もしくは準公務員として介護職員というのは非常に多かったのです。

公営施設の割合

1980年2017年
老人福祉施設48.5%16.2%
保育所等60%32.1%

公務員でなくなったことによって、賃金が減っているという現状、介護・保育の現場を民間に委託しすぎているところのツケが回ってきています。民営化が進むと利益を追求することになりますので、人件費が削られてしまう傾向があります。

介護・保育の人材の確保のためには、公費の投入が不可欠となり、税金負担を増やさなければならないことになります。

労働政策として介護・保育の充実というものを考えないと今後の現役世代は安心して働くことができないのです。現役世代が働けないとなければ、結局日本の経済を維持できなくなります。

まとめ

残念ながら今のままでは、介護福祉士・介護士・保育士ともに高賃金になるのは遠い未来になりそうです。昔に比べれば、介護のパート求人を見ても時給は上がっていますが、物価も上昇していますので、他の仕事に比べればまだまだ低いままとなっています。

介護や保育のサービスを充実させるためには今以上に税金の負担を考えなければならないということがわかりました。莫大な防衛費を削減して社会保障へ予算を充ててほしいと思っているのは私だけではないはずです。

国は消費税を増税するのであれば、適正な税金の使い方をしてもらいたいものです。

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