終末期医療とは何?緩和ケアに効果があるVR映像の新活用方法は?

介護

毎日、新聞を読むのが日課になっているのですが、ひとつの記事に目が止まりました。それは「終末期患者VRで緩和ケア」です。体が動かなくなった時に思い出の場所や行きたい場所などの風景をベッド上で見ることができたら、どんなに気分転換になるでしょう。今回は終末期医療・終末期ケアとは何かを考え、緩和ケアに効果があるVRの新活用方法をご紹介したいと思います。

目次

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終末期医療・終末期ケアとは何?

日本老年医学会によると、「終末期」とは「病状が不可逆的かつ進行性で、その時代に可能な限りの治療によっても病状の好転や進行の阻止が期待できなくなり、近い将来の死が不可避となった状態」とするとしています。

わかりやすくいうと、「今の医療では回復する見込みのない病状であり、近い将来に死が訪れてしまう状態である」ということです。

では、終末期医療・終末期ケアとは何でしょうか。終末期というのが、今の医療では病状が回復する見込みがなく、近い将来に死が訪れることと説明しましたが、その医療・介護ということですので、単に診断・治療のための医学的な知識・技術のみではなく、必ずしも最新もしくは高度の医療やケアの技術のすべてを注ぎ込むことではありません。

死が避けられない状況がどれくらい続くのか、死を迎える瞬間までわからないことですし、個人によって大きく変わってきます。残された時間を有意義に過ごすために、過少でも過剰でもない適切な医療、生活の質(QOL)を大切にするのが終末期医療・終末期ケアということになります。

終末期には、この生活の質(QOL)を高い状態にすることが大きな目標になってきます。

生活の質(QOL)の高い状態とは・・・幸福感や満足感が高く、身体的に快適な(苦痛が少ない)状態。

最後にベッド上で動けなくなってしまった時に、天井ばかり見ていては、人生最後に悔いが残ってしまうと思います。そんな時に素敵な風景や、思い出の場所を見ることができれば、楽しみを得ることができると思いませんか。

緩和ケアに効果があるVR映像の新活用方法は?

新聞記事にあった内容を参考にして書いていきます。

1日でもいいから自宅に帰りたい。ふるさとをもう一度訪れたい。終末期のがん患者の願いをかなえるため、芦屋市朝日ケ丘町の市立芦屋病院の緩和ケア病棟で、仮想現実(VR)の装置が活用されています。

患者は病室にいながら外出を疑似体験でき、気分の落ち込みが改善するなど効果が表れているといいます。

2017年度から大阪大学大学院薬学研究科と共同で、5月末にはドイツで開かれたヨーロッパ緩和ケア学会で発表されました。

【実例】実際VR映像を見て・・・

中皮腫を患い、緩和ケア病棟で過ごす男性はベッド上でVRヘッドセットを装着しました。「自宅を見たい」という男性の願いを受け、奥さんと娘さんが360度カメラで撮影したリビングや寝室、ヤマモモやモクレンが育つ庭、愛車などの映像が流れました。

奥さんと娘さんは「本人目線で、歩いているように撮影した。パパがいつも座っていたソファに座り、好きなゴルフ番組にチャンネルを合わせた。13年間乗った車では、運転気分を味わえるよう工夫した」と話されています。

男性は「まさか見られると思ってなかった」と感想を漏らし、特に愛車の場面の再生を繰り返して見ていたといいます。

VR映像を使用するきっかけとは?

きっかけは2017年の出来事で、同病院で帰宅がかなわない患者さんのために、自宅のカーテンを使って病室の模様替えをしたところ、患者さんにとても喜ばれたそうです。

非常勤薬剤師で大阪大学大学院薬学研究科助教の仁木一順さんがその話を聞き、VRの活用を提案し、共同研究として2017年11月から2018年4月にかけて、患者20人が体験しました。

ふるさとや結婚式をした思い出の地、旅行先などの患者さんの望みに応じ、関西や九州など各地で映像を撮影、衛星写真による「グーグルアース」も活用したそうです。

飛騨高山でバスの運転手をしていた男性は「運行ルートをたどりたい」と要望したり、自宅の仏壇の前に座りたいという人もいたといいます。

私も、もし自分が見たいものといえば、自分の家と大切な猫と仏壇の前で母と話しがしたいということでしょうか。

体験前と体験後で感想を尋ねたところ、『不安感が減り、楽しみや幸福感が増す』傾向が見られたといいます。

VR映像で得られた結果とは?

同病院薬剤部長の岡本禎晃さんは「終末期には、薬が効かない苦痛や苦悩があり、患者のために何かできないかと考えてきた。VRでは予想以上に良い結果が出た。患者の希望をかなえることは、家族のケアにもなる」と話しておられました。

家族も苦しんでいる本人をみるのは本当に辛いものです。そんな時にVRを使用して、思い出話しで笑いあえれば、家族の心も少しは軽くなると思います。患者である本人さんの笑顔を見ることが何よりも家族としては嬉しいことではないでしょうか。

まとめ

私の母が自分で動けなくなってしまった時に今回ご紹介したVRの装置があれば、ふるさとをもう一度見せてあげることができたのにと思いました。母の場合最後は認知症の症状が出ていたので、映像を見てわかるかどうかはわかりませんが、懐かしい故郷を見れば、何か感じてくれたのではないかと思っています。

患者さんの生活の質(QOL)を高めることを一番に考えることは医療・介護においてもっとも重要なことです。これからもっとVRが広まっていき、生活の質の向上、満足感UPに役に立ってもらいたいと強く感じました。

今回の記事で、たくさんの皆さまに知っていただければと思っております。

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